Magical Mystery Tour/The Beatles

もう22日ということは、8月もあと10日で終わり。子供の頃なら、夏休みも残りわずかで、たまった宿題であたふたしていた。簡単なものなら、7月中に全部終えていたのに、手間のかかることやイヤなことは、始業式の直前にならないと、手をつける気にならなかった。ギリギリまで自分を追い詰めて、驚異の集中力で何とか片付ける、というスリル満点のパターンが6年間続いた。そして、これは今も続いている。つまり、締め切りギリギリにならないと集中できないというダメな性格。少しは改善されてきたものの、土壇場の状況はなかなか凄まじい。
さて、子供時代の話に戻る。夏休み最後の10日間(もう少し幅を広げて2週間?)は、家族旅行の時期でもあった。といっても、せいぜい2泊前後の小旅行で、もっぱら観光が中心。子供の頃の私は乗り物酔いがひどく、どこへ行くにも酔い止めの薬に頼らなければならなかった。その薬はとても苦く、呑みにくい錠剤だったので、イヤでイヤでたまらなかったし、無理して呑んだからといって、完全に酔わないわけでもなかった。それでも、そういった数々の苦しみを乗り越えてでも、どこかへ行くのが大好きだった。ところが、歳の離れた妹はそうではなかった。私と同じように乗り物に弱い妹は、錠剤の半分の量を呑まなければならなかった。3〜4歳までは、それをお菓子にこっそり混ぜて呑ませることができたのに、幼稚園に入る頃には、どんなに器用に細工して隠しても、すぐに見破って大暴れした。そのせいで、旅行の当日、出発間際の段階でドタキャンしなければならないこともあった。それ以後、妹がきちんと薬を呑めるようになるまでは、父と2人で出かけることが多かった。ある年には、もうどこにも行かないと思っていた朝、突然たたき起こされて、「今から出かけるから用意しなさい!」とせかされた。行き先も告げられず、電車に何時間も揺られ、さらには、苦手なバスに乗り換えて連れて行かれた先は、初めて見る大きな滝だった。山の中にあるので、夏とは思えないほど涼しかった。華やかな名所や旧跡を辿った観光旅行より、その時の鄙びた旅のことが、なぜか一番印象に残っている。父と2人っきりで、しかも、一種の「ミステリー・ツアー」だったからなのかもしれない。
そういえば、リヴァプールを訪れた時、Beatles Museumから出発する「Magical Mystery Tour」に参加した。Beatlesにゆかりのある場所を、映画で使われたバス(レプリカ?)で回るというものだった。東洋人は私1人だったので、みんなに「Yoko」と呼ばれて戸惑った。