Lou-Easy-Ann/J.J.Cale

数日前にアメリカ南部を襲ったハリケイン・カトリーナによる被害は思いのほかひどく、ニューオーリンズの街の大半が水没している。ミシシッピーあたりの状況が報道されている頃は、いつもより多少大きいとは思ったものの、かつてのアンドリューとそう大差はないだろうとたかをくくっていた。
ところが、街の様子が次々と報道されるたびに、その凄まじさに唖然とする。被害の甚大さそのものより、これが、世界一豊かな国アメリカで起きているという事実の方が、一層衝撃的でもある。多分、ニュースを見た誰もが、同じように感じていることだろう。そして、被害者の大半が黒人だということも、アメリカの闇の部分の縮図を見ているようで、いたたまれない。昨年のインドネシア沖大地震による津波被害の時でさえ、救助&復興作業はもっと迅速に行なわれていた。それなのに、よりにもよって、大国アメリカでこんなにモタついているなんて。ひょっとすると、政府は、救援をわざと遅らせているのではないか?とさえ勘ぐりたくなってしまう。要するに「車も財力もなく、自力で逃げ出せないような貧しい人々を救出するために、わざわざ労力を費やしたくない」とか、「弱肉強食の世界で、弱い者が力尽きていくのは自然淘汰の理に適っているので、あえて手を差し伸べる必要がない」という思いが、Bushや彼を取り巻く連中の脳裏の片隅にあるのではないか?ということだ。これは、かなり過激な推測だけれど、現状を見ている限り、そんな皮肉の1つや2つ、言わずにはいられない。その一方で、スクール・バスを盗んで、そこに乗れるだけの人を乗せて脱出を図った黒人少年のインタヴューも紹介されていた。その子は、それまで1度も運転の経験がなかったという。そして、「たとえ、自分が、バス泥棒の罪で捕まることになってもかまわない。それによって、多くの人が助かったのだから・・・」と語っていた。涙が出そうになった。
また、今回の災害でもう1つ痛感したのは、アメリカが実に打たれ弱い国だということ!強国だから、攻撃することには慣れているくせに、攻められると隙だらけで案外脆い。あの9・11の同時テロの時もそうだった。強さを過信して、まさか攻められるとは思っていないので、備えが手薄になっているということだろうか?
タイトル・ソングは、ルイジアナを擬人化(もっと具体的に言うと、女性になぞらえて)して、♪Lou-Easy-Ann, I hear you calling back to me,Lord, I'm going back to New Orleans,Lou-Easy-Ann has set me free〜♪と歌っている。