The Galway Girl/Steve Earle

10月になっても30℃近い日が続き、先月、少し感じ始めていた秋の気配が、またどこかに消えてしまったような気がする。注文していたSteve Earleの数枚のアルバムの第一弾、『Transcendental Blues』が届いた。この人の名前は、色々なところで耳にすることがあったのに、なかなか聴く機会がなかった。1年前に出たWarren Zevonのトリビュート・アルバム『Enjoy Every Sandwich』にも参加していた。でも、その中で何よりも夢中になったのは、Jill Sobuleのキュートな声だった。そのため、他の参加者のことは、それほど印象に残っていないというのが正直なところだった(今改めて聴き直すと、Steveも充分にインパクトがあるのに)。
それが、今頃になって何となく気になり始めた矢先、ちょうどタイミングよく、熱烈なSteveフリークの方からの後押しもあって、ようやくアルバムを聴いてみようという気になった。ただ、どのアルバムから聴くかということがちょっと問題で、素直に1stからというのではなく、色々チェックした上で数枚選んだ。
というわけで、私にとって、初めてまともに聴くアルバムがこの『Transcendental Blues』となった。16ページのブックレットには、歌詞もちゃんと載っているのがありがたい。それに、珍しく日本盤を買った(新品なのに安かった)ので、このところめっきり縁のなかった日本語のライナーノーツや、ボーナス・トラックまでついていた。ライナーによると、ミドルティーンの頃、あのTownes Van Zandtと出会って、さまざまな面で多大な影響を受けたという。そんなことさえ知らなかった。そもそも、Townes Van Zandtのこと自体、Eric Andersen絡みで、ほんの数年前に聴くようになったばかりだった。
前置きはこの辺にして、ざっと聴いてみたところ、まず何よりも気に入ったのは、あの声と歌い方!声フェチの私には、これが重要なポイントとなる。ワイルドで粘っこく、それでいて甘さも感じられ、クセになるとやめられなくタイプ。おまけに、「When I Fall」という曲に参加している女性の声のかわいいらしさにも参ってしまった。何とそれは、彼の妹Stacey Earle。つまり、兄妹2人にいきなりヤラれてしまったことになる。もちろん、気に入ったのは2人の声だけではない。ルーツをさらに掘り下げて、アイルランドに飛んでレコーディングされ、ギリシャのブズーキまで使われている曲まである。土臭い音楽が好きな私には、たまらなかった。とにかく、アルバム1枚どこをとっても、退屈しない。同時に注文した残りのCDが届くのが楽しみだ。