LongCoolWoman(In A Black Dress)/Charlie S.

昨日の話には続きがある。ザビエル公園を出て、またパレード会場に戻ると、さらに人が増えていて身動きが取れなくなった。それなのに、お目当てのコスプレ・パレードの気配は一向にない。あきらめて帰ることにした。仕事の合い間に、30分程度の予定で抜け出してきたので、それ以上グズグズしたくはなかった。第一、私は人ごみが大嫌い!他人の迷惑も顧みず、ダラダラと歩く人を見るとイライラする。
それで、必死の思いで人ごみをかき分けて裏道に出た。ところが、その先にある、普段は人気の少ないアーケードを通ったのが、そもそもの間違いだった。出店はその中にまで延びていた。そこでアンティーク風のフリーマーケットを見つけ、思わず足を停めた。イギリスで買い付けたというアクセサリー類や、カラフルな手編みのセーターやカーディガンを、何とはなしに眺めていた。アンティーク風のアクセサリーなら、私もロンドンのフリーマーケットで大量に買い込んできた(今は、この家のどこかに眠っているはず!)ので、ここで買う必要もない。それだけですめばよかったのに、ふと横に眼を向けると、イギリス製ではないけれど、仕立ての良さそうなワンピースが吊り下げられていけた。体型がバッチリ出そうなニットのロングワンピースと、フォーマルな場でも着られそうなウール100%のワンピース。色はいずれも黒。どうやら、2着共、古着ではなくデッドストックっぽい。私はブランド品にはほとんど興味がないけれど、よく見ると、どちらも誰でも知っている高級ブランド物だった。どうりで、仕立てが良いはず。それが1/10以下の価格となっているのだから、ビンボーな私にも買える。ブランド名よりも、その材質や仕立ての良さに惹かれて、つい魔がさした。それどころか、2着買うのも3着も同じ!という気分になり、イタリア製のスウェードのロング・スカートまで付け加えた。それだけは古着だったけれど、ほとんど新品同様。しかも、スモール・サイズで私向き。そして、これもまた黒だった。どうも、私の着る色は5色程度に限られていて、中でも圧倒的に黒が多い。結局、これだけ買っても、1万円でたっぷりお釣りがきた。まさに掘り出し物揃い!それに、買うという行為によって、仕事のストレスがかなり解消された。
家に着くと、出た時刻から2時間以上経過していた。残った仕事を片付けるのに、夜遅くまでかかったことは、言うまでもない。
ところで、タイトル・ソングはちょっと皮肉な気がする。私は黒をよく着るけれど、「long」でも「cool」でもないのだから。