Sip The Wine/Rick Danko

私の周囲では、なぜか、偶然の出来事やシンクロニシティがよく起こるというのは、これまで何度か書いたことがある。特に、人との出会いにおいて、信じられないような偶然の重なりが多い。そういったものと比べると、今回の偶然は、それほどたいしたことがない。でも、やっぱり書かずにはいられない。
ついに2週間を切ってしまった引っ越しの準備は、なかなかはかどらない。物が多すぎて、何から手をつけたらよいのかわからない。まず、思い切って捨てるものを選別することから始めるのが妥当だろう。そう決めたものの、「こんな物、よくためていたっけ」とあきれるようなものが、次から次へと出てくる。貧乏性のせいか、なかなか物が捨てられないので、5年以上前のクレディットカードの明細書まで、全部残っている。しかも、きちんと整理しているわけではなく、引き出しやら、箱やら、紙袋など、いたるところからごそっと出てくる。でも、そういった物は、まとめて捨てられるので、まだまし。困るのは雑誌類。捨てる前に、もう1度眼を通そうとすると、とんでもないことになる。そこで、心を鬼にして手当たり次第にゴミ袋に入れる。たちまち、山のようにゴミが増えていく。これが意外に楽しくて、つい、ポイポイと捨ててしまう。こんな物をずっと大切に取っておいた自分が、バカバカしくてたまらない。
さて、そんな作業中に、小さな新聞記事の切抜きが2枚、箱の中に入っているのを見つけた。その瞬間、言葉に詰まった。Rick Dankoの死亡記事だったから。そう、今からちょうど6年前の今日がその日。その切抜きを見つけたのは昨夜、つまり、これを書いているほんの数時間前のことなので、偶然と呼ぶには、あまりにもタイムリーすぎる。でも、わざわざこんな風にして知らせてくれなくても、忘れるわけなんかないのに。
2日前のJohn Lennonの命日は、毎年ニュースにまで取り上げられるけれど、Rickの場合、ファンの間でひっそりと偲ぶだけというのが定番。もちろん、去年も日記に書いた。今年は、引っ越し作業に追われてゆっくりCDを聴くヒマがないけれど、せめてBGMに流そう。
タイトル・ソングは、1stソロ・アルバムをはじめ、晩年のライヴ・アルバムにも取り上げられている。とてもシンプルでストレートなラヴ・ソング。
先月たまたま見た77年のライヴ映像でも歌っていた。それまで、とてもリラックスして歌っていたのに、この曲になったとたん、突然、情感を込めて歌い始めた。歌詞がわかりやすい分、ずいぶんなまめかしく、ドキドキさせられた。