Christmas Rule/Jorma Kaukonen

悲惨な出来事が続く中で、1つだけ救われることがあった。
昨夜、れいの管理会社のあきれた窓口とのやりとりの後、隣近所に挨拶回りに出た時のことだった。新居は2階建てのハイツで、各階に2LDKの部屋が2戸ずつあるだけのこじんまりしたもの。そして、庭を挟んで、同じような建物が、もう1棟建っている。2階の私は、まず向かいのお宅を訪問した。ありきたりの挨拶は、数十秒で終了。次は真下のお宅。こちらも、簡単に済ませるつもりだったのに、わざわざ中に招いてくれた。人見知りする私には珍しく、つい話が弾んで2時間半も長居する羽目になった。そのため、もう1軒のお宅への挨拶は、翌日回しとなった。
さて、その部屋の女性は、かつては、神戸のクラブでDJをしていたそうで、今は、テディベアを中心とした海外のオークションの入札代行をやってらっしゃるという。なかなか興味深い人物だった。2度目だというダンナは8歳下で、雑誌にも紹介されたことのあるソムリエらしい。今はちょうどレストランのかき入れ時なので毎晩帰宅が遅いそうで、この時もまだ帰っていなかった。
話が進むにつれて、いつしか、かなり立ち入った話題まで出て、彼女もまた、パニック障害で苦しんでいたことがあるという事実が判明した。その瞬間、思わず手を取り合った。ケッサクだったのは、昨日味わった管理会社のひどい対応について話し、無礼な担当者の名前を伝えた時、彼女もまた同じ人物からひどい目に遭っていたことがわかったこと。苦笑するしかなかった。どうやら、その会社では名物ともいえる中年の無能社員らしい。やっぱりね。
問題の給湯器トラブルについては、担当者を替えたおかげで、緊急修理の手配が整い、今日の夕方、修理係が来てくれることになった。まあ、当然の措置だろう。ところが、待っている間に、新たなトラブルが発覚!何か違和感があると思ったら、トイレの水がちょろちょろと流れっ放しになっている。あきれて、即、連絡したら、こちらの方が先に来てくれた。
結局、予定より数時間遅れて、給湯器の修理が終わった。老朽化していた器具を、新しい物に取り替えることで一件落着。これで、引っ越し後初めて、自宅のバスタブにつかることができる。温かいお湯がクリスマス・プレゼントだというのも、何だか情けないけれど、今の私にはこの上もなくありがたい物に感じられた。でも、ひと息つけるのは今だけ。明日から、古い部屋に積み残された荷物の梱包と、その部屋でグチャグチャに荒らされたままの荷物の整理という過酷な作業が待っている。