Going To Mexico/Idha

気合を入れて臨んだおかげで、予定よりずっと早く仕事が終わったものの、なぜかテンションは下がったまま。気晴らしに外に出たら、まさに身を切るような寒さで、たちまち身体中が冷たくなってきた。それでも、我慢比べのように、往復1時間ほど、なじみのない道を自転車で走り続けた。それが限界だった。それ以上長く外にいたら、きっと風邪を引いていたに違いない。
こんな寒い日には、どこか暖かいところに行きたくなる。それで、せめて気分だけでもと思って選んだのが、今日のタイトル・ソング。昨日、たまたま聴いたばかりの『A Woman In A Man's World』という4曲入りマキシ・シングルの最後に収められていた。残り3曲も全てカヴァー・ソングで、「Ooh La La」、「A Song For You(Leon RussellではなくてGram Parsonsの)」、「Willin'」という粋なラインナップ。
実は、このIdhaという人を聴くのはこの時が初めてだった。歌い方などは、私の好きなタイプに近いけれど、できれば、もう少しか細い歌い方の方がさらに好みだし、取り上げる曲によっては、ちょっと軽快すぎるかな?と思うこともあった。ところが、この「Going To Mexico」は、曲調といい、けだるい歌い方といい、まさしく私のツボにピタリとはまった。こんな時私は、決まって、軟体動物のように身体中がフニャフニャになって、その場に崩れ落ちてしまう(マタタビを与えられた猫状態?)。大げさではなく、ほとんど文字通りそうなる。
これはぜひオリジナルも聴かなくては!と、クレディットを見ると、「Miller/Scaggs」。え?この2人の名が並んでいるということは、もしや、初期のSteve Miller Bandの曲?そんなのあったっけ?
Steve Miller Bandといえば、好きなバンドではあるけれど、全アルバムを聴き込んでいるわけではないので、改めて調べると『Number5』に収録されていた。Bozはこの時すでに脱退している。
アルバムを持っていないので、この曲を知らないのは当然だった。で、早速わくわくしながら試聴したら、オリジナルは、ブルージーでけだるいIdhaのカヴァー・ヴァージョンとはリズムもテンポもまるで異なり、まったく違う曲といってもよいほどだった。だからこそ、カヴァーっておもしろい。少なくとも、この曲に関しては、オリジナルよりカヴァー・ヴァージョンの方が何百倍も好みだった。
ちなみに、『Number5』は聴いたことがなかったけれど、同じ5枚目でもJ.J.Caleの『5』なら今もなお愛聴盤。前述のように、「軟体動物化」してしまうアルバムの1つでもある。