30-20 Blues/The Charlatans

このところ、比較的新しいミュージシャンのCDを購入することが多かった。ところが、今日何度か繰り返し聴いたのはCharlatans。UKに同名異バンドが存在するけれど、ここで言うのは60年代のベイエリアのバンドの方。先日、Yahoo My Stationで今日のタイトル・ソングが流れ、ブルージーなメロディ・ラインの中に織り込まれた軽快なスライドが気になり、バンド名を見たらCharlatansだった。
これは、私にとって、実に感慨深いことだった。というのも、彼らの名前を知った70年代半ばには、すでにベイエリアの伝説のバンドと化していたのだから。今やロック・インタヴューの古典とも言えるRalph J. Gleason著『JA & San Francisco Sound』で紹介されていた妙に古ぼけた写真に写る姿しか見たことがないというのも、ますます幻のバンドのイメージ化に拍車をかけるものだった。それに、『フィルモア最後の日』で、Bill Grahamと言い争い、激怒して階段を駆け下りて行き、見る者に強烈なインパクトを与えた強面の人物が、このバンドのMike Wilhelmだということを知ったのも、つい1〜2年前のことだった。
それが今頃ネット・ラジオで流れ、CDが紹介されたのだから、手に入れないわけにはいかない。このバンドがたまに話題になるといえば、元ドラマーのDan Hicks絡みのことばかりのような気がする。私はそちらの分野は門外漢なので、あくまでも、バンドとしての彼らにのみ注目したい。
届いたCDは『The Amazing Charlatans』というもので、65〜68年のデモ・テープやセッション音源が集められている。28ページにもおよぶライナーノーツは、元メンバー達のコメントや解説、それに当時の写真が満載で、私のような初心者にはとてもありがたい。
これによると、初期のデモ6曲は、実は、メンバー達が公開を渋ってたようで、CD化にあたって幾分音をかぶせているという。それでも、その中には私の好きな「Jack Of Diamonds」まで含まれているので、よくぞカットせずに収録してくれたと思う。このように、好きな曲のカヴァーに関しては、私はつい甘くなってしまう。タイトル・ソングも、Robert Johnsonのカヴァーだし、他にはあの「Codine」まで取り上げられている(ライナーによると、この曲をカヴァーしたのは、彼らが最初とのこと)。とにかく、好みの曲が多くて、最初から最後までワクワクしながら聴くことができた。また、Lynne Hughesという女性シンガーが参加している2曲は、Signe Anderson時代のJAに通じるものも感じられた。久々に、心地よいタイム・スリップだった。