They’re Playin’ Rock’N’Roll In Heaven/NFB

今日はNicky Hopkinsのバースデイ。健在なら62歳。去年も同じようなことを書いているかと思い、読み返してみたら、意外なほどさらりと流していた。それなら今年は、去年の分まで書かなくては。
彼を気になり始めたのは、高校生の頃、Jeff Beckに夢中になり、後追いでJeff Beck Groupの『Truth』や『Beck Ola』を聴くようになってから。それ以前も、名前は知っていたけれど、売れっ子セッション・ピアニストという漠然としたイメージしかなかった。ところが、好きなバンドの一員としてプレイしていることがわかると、急に身近な存在に感じられるようになった。それどころか、その時点で、まだ彼の姿は未知のものだったにもかかわらず、そのスリリング、かつ、繊細なプレイから判断して、容姿もまたきっとそのように違いないと決め付けていた。そして、やっと眼にすることができた写真に写っていたのは、まさにそのイメージ通りの人だったので、私のNicky熱は高まっていくばかりだった。
当時、アメリカン・ロックにはほとんど無関心だった私が、QMSやJAに興味を持つようになったのも、Nickyのおかげと言える。その後の私の音楽的嗜好を180度変えることとなった『Fillmore』を見る気になったのも、Nickyが参加していたQMSのパフォーマンスを見たいというのが最大の理由だった。あいにく、彼の姿はなかったけれど、彼やCipollinaを抜きにしても、あのフィルムにおいて、QMSの魅力は充分に伝わってきた(その後の話は、Nickyとは直接関係がないのでここでは省略)。
そんな私が彼の訃報を知ったのは、亡くなってから1年以上経ってからだった。いくら、ネット開始以前の情報不毛時代だったからとは言え、これは情けない。
なお、タイトルのスペースが限られているため、バンド名を省略せざるをえなかった。これがNovato Frank Bandのことだとわかる人ははたして何人いるだろう。私も、NickyやCipollinaが参加していなければ、恐らく、名前も知らないまま終わるか、あるいは、Novatoというベイエリアの地名にチラッと反応する程度だったと思う。この曲が収録されているアルバム『Rock’N’Roll Heaven』は、ノヴァトに在住の元自動車修理業者Frank Bonomoloが、Grateful Deadの元ドラマー、Mickey Hartのスタジオを借り、周辺の多くのミュージシャンと行なったセッションを集めたもの。最初に加わったのがCipollinaで、その時彼は、仲の良かったNickyを連れてきたという。でも、タイトル通り、今や2人共天国に行ってしまったのだから、皮肉なものだ。