My Back Pages/Steve Earle

昨夜から2夜続きのスペシャル・ドラマを見ていた。今でこそ、ずいぶん勢いがなくなってはいるものの、かつて栄華を誇った渡辺プロの創始者渡辺晋と、彼が手がけた音楽ヴァラエティ「ザ・ヒットパレード」にまつわるドラマ。主演は、常にわざとらしいワンパターンの演技で、見ただけでイヤになる俳優だったし、メリハリのないストーリーで、あえて見るほどのものではなかった(唯一の収穫は、某若手俳優。1人だけ眼を引き、後で調べると、少し前から気になっていたスペイン人とのハーフ俳優だった)けれど、なぜか、チャンネルだけは替えずにいた。というのも、ドラマそのものより、自分自身の子供時代のことが次々と思い出されて、もっぱら、画面よりも、過去の回想に集中してしまったから。
私は、他の人に比べると、決して恵まれた音楽環境に育ったとは言えない。中学時代から、来日ミュージシャンのライヴを見る機会に恵まれていた人が少なくないというのに、高3まで地方に住んでいた私には、生のコンサートなんて、夢のまた夢だった(かろうじてBB&Aを見ることができたのは、Jeffに対する強い愛の賜物!)。欲しいレコードは、ほとんど店頭取り寄せか、通販に頼るしかなかった。それどころか、ロック好きの兄や姉、あるいは、先輩や親戚の年長者すら皆無。そんなハンディだらけの環境の中で、自然に、ロックに耳を傾けるようになったのだから、奇跡とでも言うべきか。
誰から教えられたわけでもないのに、まるで本能に誘われたかのように、ふと耳にしたブルーズやカウボーイ・ソング(?)に言い知れぬときめきを感じたのは、小学生になったばかりの頃だった。当時、TVで流れる従来の歌謡曲にはまったく興味を示さず、冒頭の「ザ・ヒットパレード」や、その他類似の番組で紹介され、日本語で歌われる海外のポップスのメロディの方が、聞き心地が良いと感じていた。
そうするうちにBeatlesの来日、そしてGSブームの台頭。相前後して、あの画期的な『ビートポップス』が始まった。夢中で見た。ラジオは、NHKとローカル放送しか入らなかったけれど、たまにノイズだらけのFENが聴こえると、狂喜した。中学生の頃、市内で入手可能な洋雑誌は『16 Magazine』だけだった。幼稚だと思いながら、よく読んだ。もちろん、それだけで我慢できるわけがなく、高校生になると、たまに手に入る『Melody Maker』や『NME』を貪り読んだ。海外の文通相手も多かった。少しでもハンディを補うため、貪欲だった。良くも悪くも、これらすべてを基盤として、今の私が存在する。