I Ain't Done Wrong/The Yardbirds

言いたくてたまらなかったのに、ずっと書けずにいたことがあった。そろそろ書いてしまわないと、タイミングを逃してしまうので、まとまらないけれど一気に書く。
そう、イタリアのWカップ優勝に水を差したZidaneの頭突き事件のこと。これは、事件そのものより、それを取り巻くメディアの姿勢に問題があった。特に、日本のマスコミの無責任さといったら・・・。時々「マスゴミ」と呼ばれるのを、思わず納得したくなるほどだった。
ジャーナリストだった私の元ボスは、「100の情報を集めて、1つの記事に凝縮する。」と口癖のように言っていた。裏を返せば、たった1つの情報を想像力で膨らませ、もっともらしい記事に仕立て上げるのは、ジャーナリストではなく、小説家の仕事と言える。今回の一連の報道の大半は、「不確かな」情報に基づくものだから、そのいいかげんさは、せいぜい三文小説並み。最初から「Zidane=善」、「Materazzi=悪」という決められた図式があって、そこからストーリーを、都合よくでっち上げていくだけのようだった。活字の報道以上にひどかったのが、TVで垂れ流された数々のコメント。わけのわからないヴァラエティ・タレントが、無責任なことを口にするだけでなく、(自称?)キャスターまで、憶測を基に、好き勝手にしゃべっていた。Zidaneのコメントを一方的に信じ、どこまでも彼を正当化し、Materazzaiのコメントは無視されたまま。名前さえ呼んでもらえず、「あのイタリア選手」とさえ言われていた。あきれたのは、デカデカと報道された「読唇術によって解明された(?)Materazziのコメント」とやら。実はこれは、イタリア語のわからないイギリス女性が、口の形から想像される音を推測して発音記号で表し、それらの音の組み合わせに近いイタリア語の単語を、勝手に割り出したのにすぎなかった。多分、取材記者は、最初から、わざと、悪意のある酷い言葉にこじつけようとしていたに違いない。だから、危うく人種問題に発展しそうになった「テロリスト」という言葉まで出たのだろう。言ったとされる本人は、ずっと否定していたのに。
「内容にかかわらず、イタリア人がフランス人に対して何か言うこと自体、差別なのだ」と、平気な顔をして言っている者までいた。「あんなタトゥーをしている奴は、ろくな者ではない」と言う人さえいた。そう言う人たちも、かつて、Beckhamのタトゥーについては好意的だったはず。
こんな逆差別的なことが、電波を通じて堂々と語られることにゾッとした。
全然まとまらないので、明日に続く。