Lie To Me/Bruce Hughes

喉を詰まらせながら節分の恵方巻にかぶりついた後、Bruce HughesとJud Newcombのライヴ会場「パーカー・ハウス・ロール」に向かった。早めに家を出て寄り道するつもりだったのに、結局、直行となり、会場に着いたのは開場時刻の30分以上も前。中途半端な時間をもてあますだけだった。
なぜか今回、家を出る前から、ライヴ直前につきものの緊張感もドキドキ感もなかった。それでも座席を確保し、遠方からやってきたNariさんやその友達と言葉を交わしているうちに、少しずつ気分が乗ってきた。そうこなくっちゃ!
前日の大阪公演に比べ、今夜は京都以外のお客が多いと聞いていた通り、周囲にいたのは、関東、東海、北陸、中国、四国・・・と遠方の方ばかり。「もしや、地元のお客は私だけ?」そう思いたくなるほどだった。そして、もう1つの珍現象は、前方を陣取っているお客全員が女性だったということ!まるでアイドルのコンサート?
それはさておき、Bruceのライヴはこれが2度目で、Judは4度目。昨秋、Resentmentsが全員揃って来日した際には、他のメンバー、とりわけ、Jon Deeに耳を奪われたおかげで、Bruceは、少なくとも私にとっては、やや影の薄い存在だった。ところが、1曲目が始まったとたん、それが大きな誤りだということに気がついた。やや高めの彼のヴォーカルは、時には甘く囁くように、また、時には力強く、聴き手を引き込んでいく。Resentmentsの5人の中で、最も都会的で洗練された曲作りをする人だということがやっとわかった。そして、ジョーク交じりのMCから、頭の回転の速さが伝わってくる。そんなBruceに、Judのギターが遠慮なしに、これでもか、これでもかと絡んでいく。いつものことながら、眼の前のJudの指先に、私の眼はずっと釘付けになっていた。たった2人のミュージシャンによって繰り広げられるその音の信じられない厚みは、実際にその場に居合わせた者にしか理解してもらえないと思う。
約2時間のライヴ終了後の2人の人気者ぶりにも、改めて驚かされた。昨秋とは逆に、今回は、Judのそばに女性ファンが次々と近づいていく。その様子を、私は少し離れたところで感心しながら眺めていた。さらによく観察すると、Judのそばを絶対に離れようとしないファンが1人いることにも気がついた。その後、運良く便乗できた打ち上げの場でも、その「独占」が続いていたので、さすがに苦笑するしかなかった。その一方で、「喉によくないから」と言って、お茶しか飲もうとしないBruceのプロ意識に脱帽!でも、辛い食べ物ならいいのかな?