Riding My Bike/Lisa Germano

慢性の運動不足は否めないので、週に1度ぐらい自転車で遠出できればと思っている。でも、実行するのはなかなかむずかしい。幸い、今日は気温も上がり、格好の外出日和なので、ためらわずに自転車に乗った。コートを脱ぎ捨て、長袖のカットソーの上にはおったジャケットさえ邪魔なほど不自然な陽気。そう思った矢先、向こうからタンクトップ姿の女性がやって来た。その潔さに圧倒される間もなく、今度は、正装した男性とすれ違った。ほんの一瞬のことなのに、それが誰なのか、私にはすぐわかった。元ゴダイゴのSteve Foxだった。近くの教会で牧師をしているという話は聞いていたけれど、まさか路上ででバッタリ出くわすなんて!少し前に観たゴールデン・カップスドキュメンタリー映画ワンモアタイム』に彼も出演していたので、またミュージシャンに戻ったのかと思っていた。まだ地元に居ることがわかってうれしい。でも、振り返りもせずに、そのままペダルをこいだ。
北山通りの東端に辿り着き、南に折れて白川通りを進み、和洋折衷のスウィーツ店で休憩したり、洒落た外観の書店を覗いてみたりしながら、ぐるっと回って出発地点に戻る頃には、すっかり汗ばんでいた。
夜になって、たまたま『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道(Walk The Line)』を観る機会を得た。作品の評判はそれとなく耳にしていたので、何となく興味をもっていた。実を言うと、Johnny Cashについて知っているのは、その名前のみ。経歴や代表曲さえ知らず、何の前知識も先入観もなく観始めた。こういう実在の人物の映画というものは、どういった視点から捉えるかによって、その仕上がりがすっかり変わってしまう。ドラマティックに見せるために、誇張や美化がつきものだということも充分理解している。それらを踏まえた上で、これを伝記映画ではなく、1つのラヴ・ストーリーとみなすと、よくできていると思う。浮ついた不倫を美化する昨今の不愉快な邦画とは違い、もっと真剣にアピールするものが感じられる。けれども、そういったサイドストーリーでなく、ミュージシャンとしての彼の姿を、正面から捉えた作品(たとえば『Buddy Holly Story』のように)を期待していた人には、物足りないものとなったかもしれない。また、『ターミネーター2』のRobert Patrickと、シンガーのShelby Lynneが両親役を演じているのにも驚いた。不自然ではないけれど、やや若すぎるのでは?その昔、Loretta Lynnの伝記映画『Coalminer's Daughter』で、Levon Helmが父親役を演じたことをふと思い出した。その時の彼は、充分板についていた。