I'llLetYouKnowBeforeILeave/Jorma Kaukonen

年末年始以来、約2ヶ月ぶりに帰省することになった。ここ数年、色々と複雑な事情で、年に10回近く帰省しているけれど、今回の用件もまた、うまく対処できるかどうか、まったく予想もつかない。
それは、実家の引越。市の道路拡張計画に、ちょうど実家付近も含まれていて、とりあえず全部更地にし、数十メートル離れたところに、新たに家を建て直し、移転することになっているらしい。この計画は、まだ父が健在の頃から噂されていたけれど、去年ぐらいから具体的な話が進み、ついに我が家も移転の用意にとりかからなければならなくなった。たかが引越ぐらい・・・と思われるだろうけれど、「物が捨てられない」という私の困った性格は親譲り。実家にも、曾祖父の時代からの種々雑多なガラクタが溢れている。今にも壊れそうなボロボロの家だけど、部屋数だけは馬鹿馬鹿しいほど多い上、今や、そのほとんどが「物置化」しているため、そこに放置された物の数や量はハンパではない。しかも、現在、そこに住んでいるのは母だけなので、とてもじゃないけれど、彼女1人で荷物の整理ができるわけがない。それで、私と妹と弟が、時間の空いている時に、実家に残したままの私物の整理から始めることになった。
実家から徒歩わずか数分のところに、父の生家も残っていて、そこは、私達が帰省中のねぐらにする以外、普段は誰も使っていない。それだけあれば、母1人には充分だと思うのに、実家を潰した後、わざわざ、新たな場所に新居を建てると言い張っている。父も生前にそう希望していたというので、もはや、私達が何と言っても無駄だろう。
それにしても、今や、「開かずの間」同然の私の部屋を整理するだけでも大変なのに、残りの部屋を、一体、どうやって片付けていくべきか?と考えただけで憂鬱になってくる。物だらけの引越が、いかに大変なものかということは、1年余り前に、自ら、身をもって体験している。あの時は、3DK分の荷物をチェックし、まとめるだけでも死ぬ思いだったのに、今度は、その5倍ぐらいあるのだから、気が遠くなってくる。そういえば、何年も閉じられたままで、今ではネズミと猫のお城になっているといわれる蔵の中には、一体、誰が、どうやって潜り込むというのだろう?
神経質さと楽観主義的な性格を併せもつ母は、一連の件に関しては、ずいぶん気楽に構えているので、私や弟の方があたふたとならざるをえない。父のもとに嫁いできて以来、何十年も同じ場所に住み続けている母には、引越の過酷さが想像もつかないに違いない。ああ、気が重い。