People Have The Power/Patti Smith

これまで、カタギの生活にはほとんど縁がないので、ゴールデン・ウィークというものを実感したことは1度もない。数年間、怪しげな(?)会社に勤めていた頃でさえ、連休中は休日出社を買って出て、世間が再び仕事モードに切り替わる頃、ゆっくり代休を取っていた。田舎より都会が好きなくせに、人ごみが大の苦手というわがままな性格の私には、このシステムはありがたかった。
ビンボーな自由業となってからは、カレンダーなんてあってないのも同然で、この時期も普段と変わらない生活をしている。外に出て、急に人の数が激増しているのを見てようやく、いつもと違うことを体感する。
昨日は、先週から続いているGurfモードを、一時的に切り替えるために、頂き物のPatti Smithの映像を見た。3月に行なわれたロックの殿堂入りセレモニーでのスピーチとライヴを収めたもので、色々な意味で興味深かった。そもそも、動いているPattiをじっくり見るのは、フジ・ロックの映像以来、何年ぶりだろうか。
さて、ロックの殿堂については、<a href="http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=435022&log=20040912">3年前の日記</a>でも少しふれた通り、色々と批判も出ている。
そんな中、舞台のソデで待機している時からすでに感極まって涙ぐんでいるPattiの姿は意外だった。ドレスアップしたゲストに向かって、ステージから涙まじりに語り始めるその様子は、これまで、彼女に対して勝手に抱いていたイメージとはあまりにも違いすぎて、最初は大いに戸惑った。
それでも、亡くなった両親や夫、弟をはじめ、自分の周囲の人々に感謝の言葉を述べた後、この「ロックの殿堂」が、貧困にあえぐミュージシャンを救済する基金を設立していることを、声を大にして伝える姿を見ていると、彼女が決して長いものに巻かれているのではなく、単に、とても素直で正義感にあふれる人だということが、はっきりと感じられた。
Mick Jaggerに負けない迫力の「Gimme Shelter」と、「Because The Night」の熱唱の後、亡き母とのエピソードを切々と、かつ、お茶目に語りながら、その母が大好きだったという曲を歌い始めた。何とそれは「Rock'n' Roll Nigger」!
彼女が、亡き母や夫から、「Patti」ではなく「Tricia」の愛称で呼ばれていたことを、その時初めて知った。彼らの口真似をして、「Tricia」と甘く発する時の彼女のかわいらしさといったら!
これまで、「クールでカッコいい」というイメージの強かった彼女の別の一面(案外、こちらが本当の姿に近い?)を垣間見たようで、うれしくなった。