Hong Kong Blues/Amos Garrett

遅くとも5時15分には家を出ないと間に合わないのに、出遅れること数分。それを取り戻そうと、必死で自転車を走らせた。
目指すは「磔磔」!何年も前のJormaのソロ・ライヴと、一昨年のMarc Benno以来、ようやく3度目と不慣れなため、烏丸から仏光寺通りに入ったあたりで迷い、着いたのは開場時間ギリギリだった。
で、ここからは、恥ずかしい告白となる。
実は、私、Amosが参加しているアルバムを1枚も持っていないどころではなく、聴いたことすらほとんどない。<a href="http://www4.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=435022&log=20050908">Marc Benno</a>の時もそれに近かったけれど、今回はもっとひどい。Great Speckled Birdの万博ライヴ音源を、かろうじて聴いたことがあるだけ。しかも、それすら、つい2年前のことだった。
決して興味のないタイプではないのに、長年にわたり、名前を知っているだけで、ずっと縁のなかったミュージシャンというのは意外に多い。Amosもその1人だった。
それでも、日本人のサポート・メンバー2人(後に、ピアニストも参加)を従えて、眼の前の椅子に腰を下ろす彼の姿を見ると、超初心者の私でも、まるで昔から慣れ親しんで聴いてきたかのような気がしたのだから、不思議なもの。
うれしいことに、1曲1曲必ず、ユーモアを交えて説明してくれたので、よく知っているカヴァー曲だけでなく、初めて耳にする曲でも、解説を元に楽しみながら聴くことができた。
ただ、全体に小綺麗で、泥臭ささがほとんど感じられないのは意外だった。ヴォーカルも、普段からアクの強い人を好んで聴いているせいか、物足りなく感じた。
そんな中、「Lazy Bones」は、どこかで聴いたことがあると思ったら、Leon Redboneもカヴァーしている曲だった。アコースティック・セットでは、「Hong Kong Blues」が一番ツボにはまった。そして、これがHoagy Carmichaelの曲だということを、この時初めて知った。まったく、無知丸出し。
「Sleep Walk」が、日本だけでなく、カナダやヨーロッパでも一番リクエストが多い曲だというのは、なるほど!と納得。残念だったのは、最前列のど真ん中に陣取っていたのが仇となり、真正面に譜面台が置かれていたせいで、彼の左手がまったく見えなかったこと。たとえ見えたところで、専門的なことは何もわからないけれど、聴覚だけでなく、視覚的にもこの曲を味わいたかった。
でも、何だかんだと言いつつ、私の血が一番騒いだのは、アンコール前の「(New) Walkin' Blues」。こればかりは、私の趣味嗜好が変わらない限り、どうしようもない。